20121219

LIBRARY LOUNGE in 医学書院


Meaningful occupation,大切な作業

日常では埋れているが,誰にでも必ず存在する

彼らが大切な作業を発掘した時

ボクは初めて譲れない意志を持った


彼らが大切な作業の実現に向けて動き始めた時

ボクは初めて作業療法の楽しさを知った


彼らの大切な作業が実現した時

ボクは初めて作業療法士としての自分を誇れるようになった.


それが今まで埋もれていた

ボクらにとっての Meaningful occupation "大切な仕事"


"大切な仕事"は"大切な作業"から生まれる


co-creating occupation








ADOC projectの "Why"(なぜやるのか) はいつも変わらない…
クライエントの大切な作業を実現することによって,
作業療法士も作業療法が大切な作業になること.
そしてそれをみんなができるようになること.
"How"(どうするのか)も変わらない.
それは作業に焦点を当てた実践.
いつも変わるのは "What" (何をするのか)だけ…








医学書院本社の二階には,とても綺麗なLIBRARY LOUNGEがあるんだ.
そこには,医学書院から発行されている全ての医学書が並んでいるんだよ.

標準作業療法学や,COPM・AMPSスターティングガイド…etc
僕達が一生懸命読み込んだ書籍ももちろん並んでいる.

そこに僕達の本が並ぶことになったんだよ.

もちろん,"Why" と "How" は変わらない…


クライエントの大切な作業を実現して,

多くの作業療法士が作業療法をもっともっと大好きになれること.

刊行は来年の冬…

今回の "What" も,僕達は co-creating occupation を大切にしたい.
ぜひみんなの意見を沢山聞かせてほしい.

作業療法を好きで好きでたまらない僕達がみんなで作る本なんだから.

きっとみんなの宝物になるよ.












20121217

研ぎ澄ます主体〜12月16日 in 社医学 〜






最初はすごく難しい言葉を並べたスライドを作ったんだけど,
結局ぜんぶ作りなおした.

何を伝えるかをずっと悩んでいた.

専門用語はテキストに並んでいるし,
先人達の言葉は論文の中に散りばめられている.

既に動機付けられた人たちは,自分の力で進んでいけることを体験を通して知っていたし,
迷う人達が一歩を踏み出せない苦労もまた,体験を通して知っていた.

僕の仕事は迷う人達の心を,ほんの少しでも動かすこと.
それしかないと思った.それしか出来ないと思った.

だから,最初のスライドは全て捨てた.
僕の実践をそのまま見てもらうことにした.

その実践を難しい言葉で説明することもやめた.
僕がその実践を行った理由を感じてもらおうと思った.

参加した人たちは気づいたと思うけど,
今回のプレゼンの順番は,逆方向だった.

実践を紹介して,その実践をした理由を語るのではなくて,
僕の心を動かした作業科学の論文との出会いを紹介して,
その後で,ただシンプルに事例報告をした.

正直すごく怖かった.

専門用語を並べた方がずっと楽だった.

でも実践を難しい言葉で飾るよりも,

作業科学を勉強して,心が動いた僕が,
どんな作業療法をしているのかをそのまま見てほしかった.

理論は自分を正当化したり,自分を武装したりするためにあるのではなくて,

理論は自分の感情や思考や行動の精度を研ぎすますものだと思う.

だから,心の底からクライエントに寄り添い,

共創しようとする作業療法士だけが,
研ぎ澄ます主体を持っている.

どんなに沢山の理論を勉強しても,

どんなに沢山の手技を身に着けても,

クライエントの人生を魂全てで支えようとする姿勢がなければ,

おそらく理論は自分の鎧にしかならないと思う.

あの日紹介した僕の実践は,すごく大胆に写ったかもしれないけど,

実践の内容ではなくて,なぜ僕がその介入をしたのかを考えてほしい.

クライエントが病前していた作業だから…そんな理由で僕はあんな介入はしない.

クライエントの「地平」に自らの「地平」を寄せて,お互いの地平の境目さえも
区別できないほどに想いを重ねたから,あの手段を採用した.
そのプロセスを感じてほしい.

共通の理解地平の確立を目指そうといつも寄り添うことに全神経を研ぎ澄ますのは,

クラークの論文との出会いがあったからだし,クラークの論文に出会えたのは,
仲間と一緒にもがいて勉強した日々があったからだ.









あの日の最後は,connecting dots の話で締めたけど,
本当に振り返った時に初めて気付くことが沢山ある.

今日勉強したことが,いつ,どのように役に立つかはわからないかもしれない.


でもクライエントの幸せを心の底から願い寄り添う人達の日々の「点」は,

いつか必ず線になってクライエントの幸せに繋がる.そう信じることが大切.

作業療法に悩み,作業科学を学ぼうとする皆さんに,僕は何も答えを示さなかったけど,

僕の話が,ほんの少しでも日々の「点」を重ねようとする動機になってくれれば嬉しい.






20121214

興奮冷めやらぬまま〜12月16日 in 社医学〜

今週末,12月16日に専門学校社会医療技術学院で,日本作業科学研究会主催.
「作業科学の知識を実践につなげる:作業科学と作業療法の架け橋」が開催されます.


僕も講師の1人として,わずか30分ではありますが,皆様の前でお話させていただきます.僕は臨床家ですので,難しい話をするつもりはありません.臨床家として,どのようにOSに出会い,OSを勉強し,OSがどのように臨床に役立っているのか?リアルな話をしようと思っています.参加される皆様,よろしくお願いいたします.

今回僕は,3つのお話をする予定です.


最初は「OSをどのように学んだか?」です.


2つ目は,「僕のOT人生を変えた論文」です


3つ目は「心に残る事例」です

ちょっとオデッサの階段風のスライドにしてみました(笑)


作業科学は,メタ理論の特性上,実践にどう活かして良いのかを悩んでいるOTが多い印象があります.少しでも作業科学に関心を持ってもらえることを第一に考えてプレゼンしたいと思います.よろしくお願いいたします.

協働の始まりを共に宣言すること 〜12月9日 in 兵庫〜


12月9日,兵庫県で,作業に焦点を当てた実践研修会が開催されました.
いや~熱い一日でした.400名以上の参加をいただき本当にありがとうございました.


友利さんは,作業に焦点を当てた実践についての総論.そして作業療法のこれからについて講演してくれました.難解な理論やプロセスモデルを理解することに苦労していた方達も,作業療法のあるべき構造や立ち位置について理解を深めることができたと思います.


竹林さんは,作業に焦点を当てた上肢機能訓練についての講演です.機能訓練というと,徒手的で受動的な印象を持っているセラピストも多いと思います.しかし今回の講演を聞いて,作業療法士が行う「真の機能訓練」は,作業に焦点を当てた綿密な目標設定と難易度調整の元に,クライエントが動機付けられ,作業に参加し,作業の可能化を通して更にその動機が強化され,クライエントが自らの力で上肢を使って生活を豊かにしていく.結果的に機能も回復していくものです.今回の講演で,真の機能訓練は,作業に焦点をあてた目標設定が不可欠であり,とても科学的でありクライエント主体であることが理解できたと思います.


原田さんは,地域でどのようにして効果的な連携ができる基盤を作ってきたのか.その軌跡を講演してくれました.関わる全てのスタッフをクライエントと捉え,スタッフにCOPMを実施.一見すると別々の目標や関心を持っているかに見えた他職種も,本当はクライエントが大切な作業に従事して,イキイキと生活することを望んでいるんだ.という事実を,チーム全員で認識し合い,クライエントの作業に焦点を当てたチーム支援の基盤を作っていったという内容でした.他職種との関係に悩む多くの作業療法士達にとって,とても参考になり,そして希望を持てる内容だったと思います.



今回は4名の講演に加えて,3名の先生方によるライトニングトークも開催されました.



藪脇先生は,高齢者のための包括的環境要因調査票(Comprehensive Environmental Questionnaire for the Elderly :CEQ)を紹介してくれました.安全を優先した環境設定は,確かに転倒などのリスク軽減にはなるかもしれません.しかしクライエントの真の健康を支援するためには,作業の可能化に焦点を当てた環境設定が重要であり,作業の観点からの環境評価が不可欠です.CEQは今正に求められる環境評価だと思います.



寺岡さんは,OBP2,0の紹介です.作業療法という「手段」の有効性を最大限に発揮するためには,作業機能障害の改善とともの,実践における信念対立の解消が不可欠です.今までの作業療法理論の構造の中に,信念対立解消アプローチを組み込んだ新理論は,とても現実的で実践的です.鎌倉先生が,「大理論,つまり設計図としての理論はもう出尽くしたと思う.それは確かに必要ではあったが,もう流れは定まったと思う.これから必要なのは実践理論である」と書籍の中で語っていたのを思い出しました.正にこの言葉の答えを具現化した理論ではないでしょうか.今後がとても楽しみです.



平松さんは,犬の散歩に焦点を当てた実践報告です.あの日,あの場所で,臨床2年目の彼が登壇したことの意義はとても大きいと思います.多くの若い作業療法士達に勇気と希望を与えた報告だったと思います.



そして僕は今回,面接評価・目標設定についてのお話をさせていただきました.協会が「生活行為向上マネジメント」を推進していることからもわかるように,現在,作業に焦点を当てた実践が叫ばれています.

作業とは,言うまでもなくクライエントの作業であり,作業に焦点を当てた実践を行うためには,セラピストが勝手に目標を設定することはできません.クライエントが,よりよい作業的存在になれるように,クライエントとセラピストが目標を共有するというプロセスが非常に大切になります.

目標を共有するためには,クライエントが,作業療法を理解し,作業療法の目標設定に主体的に参加することが重要になります.そこで重要になるのが,面接評価です.

現在,「作業選択意思決定支援ソフト:ADOC」や「カナダ作業遂行測定:COPM」「作業に関する自己評価:OSA-2」など,クライエントとセラピストが対話する評価法は沢山あります.今回はその中で,ADOCを使用した僕の実際の面接評価を見てもらいました.

他人に面接評価を見られるのはモチロン初めてであり,少し恥ずかしかったですね(笑)しかし研修会のために動画撮影を快諾してくれたクライエントのためにも,ぜひ有意義な時間にしたいと頑張りました!

今回のお話で,僕が一番伝えたかったことは,作業療法は,クライエントの主体性な参加が何よりも大切だということです.

ですから,面接評価は「情報収集」ではないのです.面接評価は,クライエント自身がこれから自分が参加する「作業療法」を理解し,自分の取り戻したい生活を見つめ,その生活を構成する作業や,作業に絡みつく想いの全てを作業療法士と共有し,明日からの協働の始まりを宣言する時間であるべきなのです.

反対に,いくら巧みな話術で会話を盛り上げることができたとしても,恣意的で,クライエントの語りを誘導しようとする面接や,クライエントの世界に寄り添う姿勢を持たない面接は,効果的な結果をもたらさないと思います.

今回参加してくれた皆様が,少しでも明日の臨床に役立てていただけたら,そして,皆様のクライエントの自己実現に,少しでも寄与することができれば,こんなに幸せなことはありません.

参加してくれた皆様.本当に,本当にありがとうございました.

研修会後,今回の動画撮影に協力してくれたクライエントのSさんに研修の成功を報告し,「多くの作業療法士が面接評価に悩んでいます.でもSさんのおかげで,色々なヒントを得ることができたと思います」と伝えると,声を挙げて泣きながら喜んでくれました.その後で,「俺の生活は俺しかわかんねーもんなぁ」という語りがとても印象的でした.

撮影を快諾してくれたSさん.本当にありがとうございました.
今回の講師は,僕ではなくてあなたでした.











20121207

作業に焦点を当てた実践とは in 兵庫




いよいよ明後日,12月9日は「作業に焦点を当てた実践とは」in兵庫が開催されます.

今回の講習会では,
友利先生,竹林先生,原田先生,藪脇先生,寺岡先生,平松先生と一緒に,
丸一日,作業に焦点を当てた実践に関する講義をさせていただきます.

僕も1人の聴講者として,講師の先生方の講義が今から本当に楽しみです.

僕の担当は「目標設定」についてです.
作業療法士は,人がよりよい作業的存在になるための支援を行う専門職です.

よって作業療法の目標は,作業療法士が1人で立案するのではなく,
クライエントが主体的に目標設定における意思決定に参加し,
クライエントと作業療法士が目標を共有するプロセスが大切になります.
そのためには,効果的な面接評価の実施が大切な要素になります.

僕が普段,クライエントと一緒にどのように面接評価を行い,
どのように目標を共有し,臨床を行なっているのかを紹介します.

作業に焦点を当てた実践を追求しようとしながらも,
クライエントとの目標設定に悩む作業療法士達にとって,
少しでも明日の臨床のヒントになるような内容がお話できればと思います.

参加される皆様,12月9日はたっぷりと楽しんでいってください.