評価は自分が情報を得るために行うと思っていた.
検査や測定の先に目標があると思っていた.
プログラムは与えるものだと思っていた.
変化は全て客観的に測れると思っていた.
今まで築き上げたフレームを壊さなければいけなかった.
フレームを作り変えなければならなかった.
言葉だけでリフレーミングはできなかった.
どんなに経験の無い学生でもニーズという言葉を知っている.
でも作業療法を父権的に提供するサービスであると思っている以上,
ニーズという言葉は決して正しく使用できない.
作業とは,動作や活動と異なること.
作業とはクライエントの一度きりの文脈の中にあること.
作業を遂行するのはクライエント自身であること.
作業の意味や価値はクライエントの中にあること.
変化や効果はクライエントが認識するものであること.
それが実感できれば作業療法という作業の形態は鮮明になる.
真のニーズに寄り添えるようになる.
だからバイザーには,レポートの書き方ではなくて,
評価の目的を徹底的に話し合ってもらったし,
僕の面接評価にもずっと立ち会ってもらった.
可動域の制限や随意性の低下にずっと悩んでいた君が,
嚥下障害があり,発話が不明瞭なクライエントが
友人とお茶飲みを継続するためにはどうすれば良いか?
それを悩みはじめたとき.僕はとっても嬉しかった.
学生という不安な立場で,
家族や他の職員にも積極的にアプローチできた.
クライエントの想いの重さを知ることができた時から,
君は「先生」から「パートナー」になった.
たった8週間という短い期間で,
自分のフレームを作り替えることは大変な苦労だったと思う.
もちろん,それを支えたバイザーも大変だったと思う.
でも,どんどんイイ顔になっていったこと.
クライエントに好かれていたこと.
皆がウチに就職してほしいと思ったこと.
それが何よりも君の成長を物語っているよね.
学生さん.バイザーの2人.本当にお疲れ様でした.
ちなみに僕は何もしてません(笑)
クライエントの目標は作業の可能化であり,
君の目標はクライエントの作業の可能化であり,
僕達の目標はクライエントの作業の可能化による君の実習という作業の可能化.
僕達が君を信じて一緒に考えたから君が成長したように,
君がクライエントを信じて一緒に考えたからクライエントは成長したんだよ,