20110506

営業時間:仲間が集まる時


彼が経営する居酒屋はいつも営業しているわけではない


基本的に仲間が集まるときだけ店を開ける


普段は大工の仕事で忙しいから


殆どは週末の夜から朝にかけて営業する








必ずといっていいほど登場する店主自慢のモツ煮込みは


水を一滴も使わずに日本酒だけで煮込み最後に大量のニンニクが入る


他にも海の幸や季節の野菜を使用した料理が並ぶ








ビールはアサヒがメインだが


事前に頼めばどんな銘柄でも揃えておいてくれる


通信カラオケが置いてあるけれど


殆どは店主が歌う


山奥にその店はあるけれど


刺身には自信があると店主は言う








首にはネックレスが輝き


ポロシャツの衿は立てている


店主は誰よりも大声で笑い


彼の笑い声を聞くと周りの全員が笑う








平屋の自宅に併設されたその店は


全て店主が自分で建てたという


カウンターから台所まで


全てに店主のこだわりが溢れている


食べたいものがあれば


前日までに言っておけば用意していてくれる





店主は僕たちにモツ煮込みを作ってくれた


OT室はニンニクの匂いが充満していた


少し躊躇したけれど


火を通したニンニクは臭くないから早く食えとみんなに勧めた


すごくおいしかったけどやっぱりかなり臭かった




モツ煮込みはAMPS課題にはないから


logitスコアに換算は出来ないけれど


僕は35項目の視点で観察して


店主とこれからの課題を確認した




そして人の為に料理を作ることの楽しさを


思い出してもらうように


周りのスタッフに協力してもらった




店主はC3レベルの不全頚損で


下肢の感覚は殆ど脱失に近い状態


それはきっと今後も同じ




右の上肢・手指は実用手として十分なレベルだけど


左の手指は、マニピュレーツ技能の向上は期待できない状態




店主は4点杖を嫌いT字杖を希望したけれど


4点杖はT字杖に比べて劣る杖なのではなく


どこでも手が離せる杖だから


大好きな店の台所周りでは4点杖を使用することを勧めた




感覚が重度に障害されているから


無理なリーチは転倒リスクが高まる


リーチの練習よりも


ポジショニング技能に重点を当てた練習を続けた




練習の中で自分の能力の認識が研ぎ澄まされてきた


今後も難しいと思われる動作が確かにあるが


店主から自分の意味ある作業への復帰を諦める発言は一度も聞かれない


代償手段の提供と共に必ず意味ある作業の文脈や価値を共有している




ゴールデンウィークに僕たちの反対を押し切って


車椅子を持たずに外泊した店主は


自宅内のADLを全て自力で遂行しただけでなく


店に友達を招いて騒いできた




その時仲間達がビール片手に舌鼓を打った料理は


モツ煮込みとタラの目の天ぷらと牛丼だった


料理をもっと効率良く作るために


手が届く場所に一箇所だけ新しく台を作るって



自分で・・・





~coming soon~




0 件のコメント:

コメントを投稿