20101027

想いに命が吹き込まれる場所・・・




今朝通勤途中で撮りました。福島の短い秋の貴重な青空。もうすぐ空が薄い灰色に包まれる冬がやってきます。今朝は雲が低くてまるで夏の空みたいでした・・・この数時間後には大雨・・・今年の冬は例年より寒さが厳しいとのことです。

今日は入院している患者様のための不在者投票日でした。数日前からクライエントのSさんと、投票用紙の記入練習をしていました。視覚認知に問題があり、非利き手での記入となるSさんの投票が無効票にならないように、一生懸命練習してきました。昔から立候補者の後援会員だったSさん。一票への想いはとても大きなものでした。何とか記入できるようになったものの、無効票になるかどうかのギリギリの書字でした。時間になり、私が同行すると、練習では見られなかった達筆で、応援している立候補者の名前を力強く書きました。投票を終え、安堵の表情を浮かべながら二人で病棟へと戻りました。

kibiさんは、Kさん自慢の芋床(ジャガイモとザラメ・麹・塩で作る漬物用の床)を作っていました。それで漬けたナスは他では食べられない一品だそうです!明日皆で語馳走になる予定です。

Mさんは、明日自宅へと退院するTさんと一緒に、ゴマ団子を作っていました。昔擁護施設の養母をしていたTさん。自分の孫くらいの年齢の私達に、入院生活のお礼を込めて、ゴマ団子をご馳走したいと張り切って作業していました。

Tくんは、Oさんと一緒になにやらwikipediaで調べ物をしています。昔乗っていたトーハツ(東京発動機)製のバイクがもう一度見たいと、一緒に検索中です。「これは大好きなバイクで2台も買ったんだ」と楽しそうに話していました。歴史など色々なことに興味があるOさん。いつもTくんは彼の興味を示した歴史上の人物などをwikipediaで一緒に調べ、プリントアウトし、彼にプレゼントすることで、病棟での無為な時間を埋めてくれます。

Kさんは、高次脳機能障害が重度なSさんの、家族との生活への復帰を目指し、様々な評価や練習を頑張っています。、今日はAMPS評価を行いました。外泊時の評価と、練習の成果、AMPSの結果から、日中義母と二人になるSさんに、過剰に制限をせず自分らしく生活してもらいながら、かつ安全性も保障された生活を構成中です。

Tさんは、末梢のしびれの訴えから、自分の価値ある作業に目を向けながらも、なかなか主体的な作業遂行にシフトできなかったKさんと、アンダリア手芸を行っていました。言語的な訴えはまだ聞かれますが、少しずつ作業に心が向いてきています。これからも残存する機能障害が、心を揺らがせると思いますが、作業遂行の経験が、揺らぎを最小限にとどめ、また前を向かせてくれると思います。

僕はこの場所をずっと守りたいと心から思いました。この空間、時間を共有するクライエント達の想いがちゃんと伝わってくる場所です。どんな想いでその作業をしているのか・・・自分のクライエントじゃなくてもこの場所では皆それを共有しています。だから皆効果的な”第二の担当者”になってくれます。この空間の空気が、新しいクライエントが自分の大切な作業を見つめるための環境因子になってくれます。

もしも僕がいつか自分の大切な作業の価値を見失うようなことがあったら・・・
この部屋に来たいと思いました。





4 件のコメント:

  1. 美しい文章と写真ですね〜.
    めちゃくちゃ感動した!といういより,
    なんか優しい気持ちになるような感動です..

    次福島行ったときは,ぜひ病院で研修させてください.

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  2. tomoriさん 有難うございます。
    もしウチの病院でtomoriさんと一緒に
    勉強会開催でいるのなら、ウチのスタッフ
    みんな大喜びですよ!ぜひ今度お願いします。

    昨日の朝の空が嘘のように今日は真冬並みの寒さです。

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  3. その時にはおいしい郷土料理、
    もしくは誰かの自慢の一品を御馳走します(^^!


    人は作業をすることで元気になれる

    それを実感できるわたしは、幸せです。

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  4. kibiさんありがとう。
    本当に、作業することで健康になれる!
    そんな場所がある僕達は幸せであり、
    その場所は宝物ですね!
    みんなのお陰です!
    いつも有難うございます。

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