20100926

70年の足跡・・・

右片麻痺 84歳のNさん





入院2週間で歩行がほぼ自立レベルに達し





ADLや床からの立ち上がりも可能になった





彼は何と中学のときから日記をつけている!!









約70年!!









毎日欠かすことはなかったらしい・・・





幸い麻痺は軽く、入院初日からお箸で食事を摂ってもらうくらい





麻痺の回復は順調だった・・・





また日記を再開するという文脈には抵抗を示したNさんだったが





明らかにその70年継続した作業を語るNさんは誇り高い表情を覗かせた









70年も続けている作業を簡単に絶やすわけにはいかなかった・・・









書字練習という理由で毎日の出来事を綴ってもらうことにした





70年も続けた習慣的であり且つ価値ある作業・・・





価値を再確認し共有したかったが





頑固な性格はなかなかそれを許さない





意志に訴えるよりも習慣の再獲得からアプローチするほうが





有効ではないかと考えた・・・





最初の4~5日は





ADLや歩行など動作訓練についての内容ばかりが目立ったが





今日ついにターニングポイントを向かえた・・・




書き始める前に毎日口にしていた書字に対する躊躇は全く聞かれず





家族のこと・・・





田畑のこと・・・





仕事のこと・・・





機能回復への固執などは一文字もなく





自分の現状がもたらした家族や環境の変化を詳細に表現し・・・





自己の作業的文脈への復帰を綴った・・・











人の想いはいつも揺らいでいる・・・





決して固定されず





いつも絶え間なく変容する・・・





固定し得ない感情を肯定的な循環に修正するとき





その時々の想いを形に残せることは





その時の自己を客観視し





強化するために非常に有効であろう・・・









私と共有する時間に彼が毎日綴る方眼紙は





彼が入院リハを終え





戻るべき文脈へ帰るときに





一冊の冊子にして渡そうと思っている・・・

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